リア王
肝玉の小さな無頼漢め、自然も貴様を造った覚えは無いと言うだろう(P.63)
シェイクスピアの悲劇の傑作のひとつ。最高傑作かどうかは判らないが、十分楽しく読める。でも、大半の登場人物はこんな感じの無頼漢だ。まぁ、シェークスピアが作った劇中の人物なので自然が生み出したものではないんだけれど。
それにしても、リア王も子育て間違えましたな。おまけに、忠臣の言うことも聞かなかったという間抜けぶり。
直言こそ臣下の名誉、主君が愚行に身を委ねて顧みぬ以上、仕方はございませぬ。(P.15)
なので、ある種の自業自得という話も成り立つものの、いっぺんに悲惨な状況へ転落。悲惨に転落させるほうも
万事、良かれかしと努めて、その結果、良い事まで打毀してしまう事がよくあるものだ。(P.50)
ということで、結局やりすぎの落ちにはなる。転落した側は
どん底を極めれば笑いに還るほかは無い。(P.117)
と開き直ってフランスと組むも負け。結局、みんな死んでしまう。でも、この悲劇の現況を形作った行動原理は
俺にとってなにより大事なのは吾が身の無事、理窟の筋では毛頭ない。(P.156)
という心根であり、
大抵は身から出た銹なのだが、誰でも決まってその禍いを日や月や星のせいにしたがる(P.28)
こういう認識なのだ。まぁ、極端になっているけど、自分がそうならないためにもそうはならないようにしないと。
でも、個人的には四大悲劇の中で一番面白く読めたような気がする。