ヴェニスの商人
さあ、肉を切りとるがよい。血を流してはならぬぞ、また、多少を問わず目方の狂いは許さぬ、きっかり一ポンドだ。(P.112)
シェークスピア喜劇の代表作の一つ。もう、このどんでん返しはたまらなく面白い。人種差別云々とか難しい主題の考察も出来るのだろうけど、純粋に喜劇として楽しむことがよろしいかと思う。
業突く張りの高利貸しと、善良な資産家と、遊び人に毛がはえた程度の男とその妻が繰り広げます。最後の最後の一笑いは、重たいシェークスピア作品ばかり読んでいると意外性のあるハッピーエンド喜劇です。
でも、まぁ、基本的に
なにをしたらいいか、それを教えるだけなら、私にもいくらでもできます。でも、その教えの一つでも守れと言われたら、そうたやすくは出来ません(P.18)
という人の本性がこういう事態を引っ張り出して、展開そのものはこの台詞に凝縮されていたのかも。