ハムレット
この堕落しきった世のなかでは、美徳が悪徳の許しを乞い、あまつさえ、辞を低うしてその顔色をうかがいながら、ことをなさねばならぬらしい。(P.123)
シェークスピアの名作の一つ。生か、死か、それが疑問だ(P.84)(一般には「生か死かそれが問題だ」)のシーンで有名だけれども、意外とどんな悲劇なのか知らない方も少なくないのではないかと思う。
確かに復習の道筋としてどうかとは思うところが少なからずあるが、シェークスピアの作品の中では比較的読みやすく内容にぐっと引き込まれる。特に、狂気を演じるハムレットの言葉は案外と深い。というか狂人ではないという前提で聞けば違った判断が周囲にも生まれたのだろう。
言葉だ。言葉、言葉。(P.63、何を読んでいるのかと問われ)
もともと、良い悪いは当人の考えひとつ、どうにでもなるものさ。(P.66)
が、狂人と思わせ続け、復讐は遂げる。が、その顛末は読んでのお楽しみだと思う。知っている方は知っているままにってことで。
それにしても、シリーズ化というか同一作者の内容のほかの話し内への挿入という手法はこんな古くからあるんだなと思った。
ジュリアス・シーザーを演りまして、ブルータスのやつに殺されました。(P.96)
ま、本筋の面白さとは関係ないけど。