香薬東西

香りの歴史や文化的側面を研究しようと思えば、山田氏の著作ははずせない。といえるほど、戦前から香料に関しての研究をしている人物である。本書は氏の研究関連著作のうち一般向けにまとめられた四部作の最後のものだ。

その分、非常にコンパクトにまとまっており、世界全体における香料史を網羅するという意味で漏れがないということはないが、概観するという点においては本書に勝るものは少ないだろう。本書以外の校了し関連の書籍やペーパーも眼は通したが、どこか特定の視点によってしまい、その分細かなことが見えるものの大きな流れは見難かったりもする。
その裏返しで、本書は可能な限り細部の情報を落とさない努力はしているもののやはり、細かな部分が見えきってはいない。ほかの香料関連の書籍が、木を見て森を見ずであれば、本書は森を見て木を見ずのきらいはある。
とはいえ、香料に関する仕事をしているのであれば、必読書の一つであることは疑い得ない。