アジア史概説

先進国つねに先進国たらず、後進国つねに後進国たらず、先進国の優位は交通によってたちまち後進国の奪い去るところとなって、そこに世界史の発展を見ることができるのである。(P.19)

多くの人に、是非一読をお勧めしたい歴史書。ユーラシア大陸を全体的に鳥瞰し、アジア史の相互関係が簡潔によくまとめられている。これに書いてることをざくっと把握しているだけでも、歴史小説等々を楽しむ上で、色々視界が持てて楽しい。そのうえ、多くの交際紛争の根っこなんかもそれ相応に把握できる。
ちょっと気になるのは、日本評。確かに、今の日本のモラル低下はいただけないし、政治家の導く先もいただけないんだけど、もう少し自信持っていいんじゃないかなぁとは思う。

功をあせらず、名を求めず、困苦に耐え、運命に忍従するのが徳川三百年の間に培われてきた百姓のモラルであったが、歴代の政治家はこれを喰い潰して、別の無駄なエネルギーに変形し発散させてしまうように導いてきた。(略)モラルを愛護することを知らなければ(略)見かけだおしの繁栄は決して長く続くものではない。(P.497)

子どもが大きくなったら読ませるとするかな。