確率の哲学的試論

彼は、その神に祈ったにもかかわらず難破して死んだ人間は何人いるのかと尋ねたのである。(P.133)

確率概念というのは実は考えれば考えるほど分からない。でも、それに対してたぶんほぼはじめて挑戦したのがこの本ではないかと思う。

確率とは、すべての可能な場合の数に対する好都合な場合の数の比である。(P.18)

と、シンプルに定義をしてみるものの、解説を読まれれば分かるけれども、なかなか明快な答えとは言い切れない。なぜなら

事象の数が増えていくに従って驚くべき規則性が生まれることがある。(P.74)

このようにベイズ主義的な考えをもっているものの、はじめに確率があって事象が生まれるのか、事象の集積から類推できるものが確率なのかという事には実は不分明なまま答えていない。
が、一定の理性の表れとしての確率を支持し、その努力をしている。その上で、的確に確率を持って物事を判断する方法も提示している。たとえば

政府の活動は政治経済にとって大規模な実験に相当するものであり、すでに生じた事例と類似する事例について政府が取るべき方策を明らかにするために役立つ。(P.90)

のように、政策立案時に事例を集め判断せよといい、加えて

公共の利益にとっては、議会はその多数が理解可能な問題についてしか決定すべきものを持たないことが重要である。(P.127)

というように、分かる事しか分からない、のだから政治にそんなに期待しちゃいかんよということ。非常に合理的。日本の政治家に難しい事判断させすぎなんだろうなぁ。