梁塵秘抄

仏陀の誓いぞ頼もしき、十悪五逆の人なれど、一たび御名を唱ふれば、来迎引接疑わず。(P.48)

初読のときは、特に印象なく読んだんだけれど、いま、改めて、あの平清盛と丁々発止を繰り広げた後白河法皇の編著かと思うと、なんとも興味深い。
あんな激しい謀略の合間に編纂したものとは思えない、人の心のあやを上手にくみ出したたくさんの詩篇。日本人なら読んでおくべきものの一つだ。
と同時に、同書には口伝もついていて、これを読むと、清盛なんかもちょろちょろっと名前が出ていて、あー、同時代の出来事なんだなと思える。読んでて、ひょっとして後白河法皇って謀略を謀略と思ってなくて、素でああいう人物だったんじゃないかなぁなどと思いをはせたりもできる。
時間のあるときに、精査してみたい一冊である。