武士道

「小さな子をいじめず、大きな子に背を向けなかった者、という名を残したい」(P.29:小説の主人公の少年)

新渡戸稲造という名前を知らない日本人はいないだろうし、その名を知らない外国人も少ないのだろう。わが母校の大先輩で、太平洋の架け橋と呼ばれた偉人だ。その偉人の、これまた知らぬもののない名著、武士道。
書評など限りなく恐れ多いし、内容のそれほど分量が多いわけではないので、英原文は難しいにせよ、こうした和訳ぐらいは日本人の教養としてぜひとも読んでおいていただきたいと思う。
とはいえ、せっかく読んだので、以下に今回の読書で気になった文節をメモしておく。多分、今の時勢で考えるべきものなんだろうなと。

「才能ありとても、学問ありとても、節義なければ世に立つを得ず。」(P.39:真木和泉)
彼(封建君主)は民の父であり、民は天より保護をゆだねられた子であった。(P.50)
人を相手にせず、天を相手にせよ。(P.75:西郷隆盛)
武士道においては、家族とその成員の利害は一体である(中略)。この利害を武士道は愛情と結びつけた(P.81)
重厚なる人は剣を用うべき正しき時を知り、しかしてかかる時はただ稀にのみ来る。(P.113)