リグ・ヴェーダ讃歌

すべての遍歴者の願望は家路に向かえり(P.37)

これは、古代インドからののらへのあてつけですか(笑)
というのはさておき、古代インドの豊かな神話の世界です。しかもレアな本らしく、珍しいことに買った価格より中古で売ったほうが高いらしい。だからといって売る気はない。もともとの多神教の文化を実感できるが、リグ・ヴェーダ全編ではなく、神を軸に歌をソートして再編しているもの。
自然神や物神の類は当然として、
われは実に、一切万物を把握しつつ、風のごとく吹きわたる(P.308言語の女神)
のように言葉そのものや
われ今力強く食物を讃う、維持者・威力なる食物を(P.341食物の歌)
食べ物になってしまうような抽象概念まで神が宿るという考え方。
おまけに、主婦がだんなを支配する歌まであると来た。意外とおおらかで豊かな世界が広がる。マヌ法典のシビアさとはかなり違う感じがする。

ちなみに神以前の世界については
そのとき無もなかりき、有もなかりき(P.322宇宙の開闢)
と考えているらしい。ということは、世界と神はどっちが先にあったと考えているんだろう。やっぱり多神教のアバウトさで許容していたんだろうなぁと、適当に解釈して読了することにする。