コンピューターの倫理学

この書籍、原著は1990年。日本語訳の本書が1992年の出版。なんと、10年以上前の本。

コンピューターの世界は日進月歩で、古い本は役に立たない、、と思われがち。しかし、この本を読み返すと、コンピューターにまつわる犯罪等は何の進歩もしていないし、10年経っても全く本質は変化していないことがわかる。
この本を今読んでも、まさに今われわれが抱えるコンピューターと社会の諸問題を適切に捉えている。本当に15年も前でインターネットが社会に普及していない頃の書籍なのに、全く持って古い問題ではないのだ。

確かに当時は適切な対訳語が普及していなかったことなどもあり、翻訳自体に若干難があるものの、それほどの本の内容を損ねるものではない。
元々大学の教科書だったようなので、架空事例のディスカッションの案内など各章末についているので、理解を深めるためにはこういうのを活用して、企業内の仲間などでグループで学習するのも良い。

改めて読んで、本当に名著と呼ばれるものは、時代を超えて通用するんだなと実感させてくれる。
古い本なので入手は難しいものの、コンピューターにまつわる社会問題を考える際に、特にお勧めできる良書である。