ニールス・ボーア論文集〈2〉量子力学の誕生

自然科学とは相容れない神秘主義を持ち込むのが私の狙いであるというような誤解を受けないようにと願いたい(P.94)

残念でした。ボーアさん。そのような誤解は結構蔓延しております。
さて、論文集の2巻目。この論文集は時系列で分かれているのではなく内容で分かれていて、1冊目は科学哲学者向け、で、本書は、おそらく、量子力学を学ぶ、量子力学を利用する学人の皆様に向けられている。
ボーアの目線から量子力学の、すなわち20世紀の物理学の巨人たちの動きが見て取れる。量子力学の進展と、学術というものの発展を体感できる一冊。正直、いわゆる理系を目指すのなら、年齢を問わずその時点で読んでもらいたい一冊でもある。

質素な実験装置の助けであれだけの素晴らしい成果を挙げてきた(P.340、ラザフォードが加速度装置に関心を示さないことに関して)

特に、予算中心主義の現代の研究者には、この事実を受け止めていい研究とは予算有木ではないと肝に銘じてもらえればと。