世界の名著 31 ニュートン
定義I 物質量とは、物質の密度と大きさ(体積)をかけて得られる、物質の測度である。(P.60)
定義II 運動量とは、速度と物質量をかけて得られる、運動の速度である。(P.60)
人類の英知。多少まどろっこしいことが書いていますが、これが現代社会の幕開けとなった一冊であることは疑う余地はないでしょう。ニュートンのプリンキピア。一応、これの全訳です。
改めて目を通すと、その見通しのよさ、観察と論理の枠組みの丁寧な分離など、なるほど、論理実証主義の連中がああいう議論をしたくなるわけだと思います。定義と法則は丁寧に分けてあって
法則I すべての物体はその静止の状態を、あるいは直線上の一様な運動の状態を、外力によってその状態を変えられないかぎり、そのまま続ける。(P.72)
法則II 運動の変化は、及ぼされる起動力に比例し、その力の及ぼされる直線方向に行なわれる。(P.72)
法則III 作用に対し反作用は常に逆向きで相等しいこと。(P.73)
こんな感じの法則が定義をもとにした観察から得られることを丁寧に論証し、その世界観に基づいて、天体等々を観察すると、その憶測として、
命題7・定理7 重力はありとあらゆる物体に存在するであろうこと、そして各物体に含まれる物質量に比例すること。(P.432)
命題8・定理8 たがいに重力で引きあう二つの物体の物質が、あらゆる方向においておのおの中心から相等しい距離のところで同等とすると、一方の球体が他方の球体に対する重量は、それらの中心の間の距離の2乗に逆比例するであろう。(P.433)
という、万有引力の法則が類推されるという記述になっている。そういう意味では、ニュートンにとって万有引力ってのは法則ではないんですね。
ともあれ、一度皆さん読む価値はある一冊ですよ。