サプライチェーン戦略

その昔、GMSの某店舗の商品管理のバイトをしていた。とにかく、当時は仕事が鈍く(というか、今でも鈍い)、計算を良く間違えた。で、当時の僕を担当した正社員は「一度で間違うなら3回ぐらい検算しろ」と怒っていたので、その通り、いつも検算をしていたら毎日の伝票が頭にしっかり入るようになった。で、自然と気がついたのが、実際に売り場で売れているものとバイヤーが買ってくるもののギャップ。で、在庫の山の整理整頓と、返品処理と、不足分の発注処理が主業務みたいな状況だったわけだ。まぁ、いろんな事情があるにせよ、途中の物流に関してはいい加減だったわけだ。

当時思ったのは、売れるものを入れるというのはとかく難しいのだと。

そのころはちょうど、流通の過渡期。バイヤーの大量仕入れ全盛から、ヨーカドー&7-11のPOS時代への間ぐらいだったような気がする。どっちの時代にせよ、この中間で情報の見えるポジションってのは脇役だった。両者の生み出す不都合のすりあわせ場所でしかないという扱い。余談だが、今現在は、僕の勤めていたGMSはどっかの系列に統合された模様。

こういう経験があるので、本書のようなSCMの本というのは、ある程度言わんとすることはよく分かる。お客のニーズの中から適切に提供可能なものを売るための流通戦略、というのがその主眼。本書にいたってはマーケティング主導では絵に書いた餅になるから、SCM主導でいけよという主張。で、その設計手法がかいてある。とのこと。自分の体験上、それは出来るように思えるので、こういう本を見るたびに思わず買って読んでしまう。本書も相した期待で購入した一冊。

が、今読むと、個人的には、なんだかなぁと言う感想。結局、個別的説明に終始していて、全体としてマーケと製造と物流の戦略的結びつきの話はあまり深い感じはしない。理由のひとつには、バズワードの多用が、結構薄っぺらい内容の印象を与えていること。もう一個は実際の事例が、使い古された事例ばかりだということ。本が出来たのが1999なので、後者の理由は今読めばやむをえない気はする。ただ、前者の理由に関しては、書は人なり、という姿勢で考えれば、こんなコンサルはいらんという気がする。

まぁ、ということで、BOOKOFF送り決定。