情報弱者って誰だっけ?

去年の島根での講演以降、ICTとかの話に原点回帰のように依頼が増えているんだけど、話ししながらいっつも思っていることに

情報弱者ってなんだっけ?

ということがある。というのも、一般に、情報弱者っていわれる人として、デジタルデバイドな人を指していることが多いんだけど、話しながら、それって本当かなと。

最近の話の基本は「ICTは人と人のつながりを作るツールである」と言うのが大前提で、つながりが必要な論拠として、自殺論の話や、高齢者福祉の話を引き合いに出して話しをするんだけど、とくにICTが嫌いなご高齢の方々に対して話せば話すほど、この人たちは弱者なのかと思ってしまうわけだ。
というのも、この人たちは別に新しいICTツールを用いなくても、十分に地域の中でつながりを持っていて、生活のうえでいざとなればICTで情報を得なくても、下手をすれば金でつながりを買わなくても、微塵も困らないわけだ(本人的には困っているんだろうけど)。むしろ、情報強者と思われがちな、現役世代でICTをバリバリ使っていて、会社勤めをして定期収入があるほうが、実際にいざというときの、地域の人のつながりがなくて、金でつながりを買ってでもじたばたするしかないわけだ。下手をすればそのじたばたする金が尽きたところで

金の切れ目が縁の切れ目

という洒落にならない事態を招く可能性も少なくないわけだ。ネットカフェ難民なんか典型的な状態でもある。ICTは使いこなせるのに、必要な情報は全く無い状態。明らかに、適切なつながりが無いために、情報弱者と言ってもいい状態なわけだ。
本当の情報強者というのは、ICTを使いこなせるわけではなくて、ICTを通じて人との関係を使いこなせる人を指すんだろうなと、最近よく思うわけです。