生協法ってのはよくできてるわな

その昔、大学生協の理事とかやっていたからというわけじゃないんだけど、ちょっと、講演の関係で調べ物をしていて、ほほーとか思ったのでメモ。

特定非営利活動法人において営利と言うのは、出資高等に応じて利益(剰余金)を再分配すること。で、禁じられている。
けど、あんまり営利組織と思われていない、消費者生活協同組合ってのも実は法人なんだな。ところがこいつは、出資高に応じて利益分配することが許されているというか、運営上はほとんど義務化(法的義務じゃないんだけどね)されているわけだ。
んじゃぁ、生協ってのは無制限に営利組織化っていうとそうでもない。
むしろ、NPO法人よりか経営を安定させながら、公益活動(個々での公益って言葉もまた微妙ではあるけど)をやらせるように上手くできている。

ま、生協ってのは、基本的に資本金というのに近い概念で、出資金ってのがある。で、その出資金を元手に、色々な本業をするわけだが、基本的に、物販・商社・メーカー、病院、施設、保険業を主業務として営むことができる、というか、それをするために設立する。おもいっきり、ある種の営利活動をすることを法的に定められているわけだ。
で、上手く営業ができれば利ざやが出るってもんで、この利ざやの取扱いに、非常に特徴がある。
まず、準備金という代物。基本的に保険業を営むと、出資金と同額、営んでなければ半額以上を、定款に定めることが義務付けられている。ある種の経営安定基金だ。ところが、この準備金、いきなり持ってなくてもいい。
その営業年度の利益のうちの1/10以上(保険業を営んでいる場合は1/5以上)を準備金として積み立てなければならない。この積み立てて残ったお金が、はじめて、その生協として自由になるお金なのだ。ちなみに、準備金が満たされれば、積み立てる必要はない。また、損失の補填はこの準備金から行われる。なので、損失が出て、準備金残高が定款の定めを切れば、また充足していかなければならない。
この残ったお金は、公益的事業に使ってもよし、出資高割戻しとか、利用高割戻しに使ってもいいというわけだ。

で、思うに、この割戻しを禁じれば、ちょうどその他の事業のほうから見た、NPO法人の会計に非常に良く似た性質を持つわけだ。ただ、この準備金という仕掛けはNPO法人にはなく、公益活動のための安定化の金作りが難しくなるわけだ。普通に貯金だったら、利益として課税対象になってしまう。

生協ってのは、実はとってもよくできた仕掛けなんだなと。まぁ、運営する輩が腐ってれば、どんないい仕掛けも屑同然と言うのは古今東西共通なんでしょうけど。