学力格差と経済格差は無関係(追記修正付き)

以前も学力格差と経済格差の話をしたけれども、またぞろ世間では全国学力テストの結果を見て、「経済格差が原因だ」と騒ぎ立てている。
マスメディアの人々に言いたいのは冷静に情報を整理してほしいということだ。

経済の表れということで、平成16年の年収の順位、上位5位、下位5位を示す。
(かっこ内の小は小学校6年の順位、中は中学校3年の順位、以下同様)

1東 京(小7、中30)
2神奈川(小27、中34)
3愛 知(小22、中9)
4大 阪(小45、中45)
5千 葉(小12、中35)
43岩 手(小10、中39)
44宮 崎(小25、中10)
45秋 田(小1、中3)
46沖 縄(小47、中47)
47青 森(小4、中14)

どう見ても、年収が低い県だからといって順位が低いということはない。僕の目には年収の低い研の順位はむしろ高く見える。格差の表れと主張するにはあまりにもおかしい。
ちなみに、駄目押しで、経済格差の一端である貯蓄の方も平成16年の上位5位、下位5位を示す。

1東 京(小7、中30)
2三 重(小42、中29)
3福 井(小2、中1)
4奈 良(小18、中13)
5愛 知(小22、中9)
43長 崎(小34、中18)
44青 森(小4、中14)
45鹿児島(小30、中36)
46宮 崎(小25、中10)
47沖 縄(小47、中47)

これは、若干相関があるかもという気もしないが、それでも、貯蓄上位でテスト順位の低い三重とか、貯蓄下位でテスト順位の高い青森などを見てみると、やはり貯蓄高が学力水準を決めるということも考えにくい。

このデータを見て、経済格差と学力格差の間に相関が少しでもあると決めてかかる発想のほうがどうかしているというのが正直な印象。時間を見てもっと丁寧に処理をしてみたいところである。
まぁ、日本にはまだまだ蛍雪の光とか米百表とかの精神が生きているということなので、安心しよう。

追記:で、次の日に、以下のように処理してみた。
横軸に都道府県の平均年収の順位、縦軸に小6のときの順位。まぁ、本来は、年収額と平均点とかで取るといいのだろうけど、相関を取るだけであれば、順位でとってもほぼ一緒。

gra2.jpg

コンピューターなので、無理やり相関の線を引くけど、実際にR2を見る限りにおいて、見事な無相関。ものはついでなので、中3の成績順位でもやってみる

gra1.jpg

まぁ、これもあっぱれなぐらいの無相関。まだまだ、これでは、貯蓄との相関はあるのではという疑いはぬぐえないので、念のためやってみます。
まずは、小6の成績と
gra3_6.jpg
次は、中3の成績と
gra4_3.jpg
で、こいつらも、見事なくらいの無相関です。

これだけやれば、少なくとも地域間の経済状況格差と、子供の成績とか学力ってのは、全く関係ないってことで完了。ある意味、「経済の格差問題と教育の格差問題は切り離して議論すべき」という優れたデータではないかと。文科省もなかなかやりますね。
ちなみに、都道府県別の平均年収は平成16年賃金構造基本統計調査(都道府県別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)から算出。で、貯蓄高は平成16年全国消費実態調査(3 貯蓄・負債)から算出しました。

これでも、まだ、格差に関係があるって言いたいんですかね。政治家の先生とかマスコミって。